実家のほうの桜は毎年だいたい4月の10日前後に満開になり美しい花を咲かせます。また、その時期はちょうど春祭り「けんか祭り」の時期でもあります。
「けんか祭り」は、昔、寺町の浜で押上の漁師が網にかけて引き上げた金の仏像をめぐる争いがもとになっているということで、今年の豊漁豊作を願い占うこの地方では一番大事なお祭りです。
町はにわかに祭りムードになり、じょうば(獅子舞)が街中をうろちょろします。時には小学校の中まで入ってきたりします。
じょうばが怖い子は中に入ってきたじょうばを見て逃げ出し、教室の中はつかの間のパニック状態になります。
ちなみにじょうばのあごの下で頭をなでてもらうと頭が良くなり、じょうばのあごで頭をなぐられると頭が悪くなるという言い伝えもあって、子供の頃なぐられたことがあるんだけどすごく痛かったのを覚えています。
寺町・押上両町の氏子が中心になって行うので、中学生になってから一度じょうばをやらせてもらったことがありますが、逆の立場になってやってみると楽しいものでした。
祭りの本舞台である一ノ宮の天津神社の沿道には満開の桜並木の下に祭りの屋台、そして祭りを見に来た人で溢れ、神社の境内からは「けんか御輿」の若衆の威勢の良い掛け声と観客の大きな声援がこだまして聞こえてきます。
子供の頃はこの桜並木の下の的屋さんで空気鉄砲などで遊ぶのが楽しみでした。
「けんか御輿」とは、ハッピを着てそれぞれの町の二基の御輿を担いだ若衆が神社の境内を走りまわります。
途中、幾度となくお互いの御輿をぶつけ合い激しく押し合います。
最終的に寺町が勝てば豊作、押上が勝てば豊漁にになると言われています。御輿同士のぶつかり合いは激しく、間近で見ていると若衆の汗の飛び散り具合、御輿と御輿がぶつかった破片など迫力満点です。
その後、能が奉じられ、「動の世界」から「静の世界」へと場面が変わります。 満開の桜の木を背景にした舞台に春の訪れを感じて祭りは終わります。
ものごころもつかない頃から、桜と春祭りの中で育ったせいか、東京での花見というのはなんとなく寂しい気もします。田舎を出てきてすでに長い年月が経ち、最後に祭りを見てから十数年も経ってしまいました。
又、機会があったら子供の頃を思い出して祭りを楽しんで見たいものです。 これが私の「桜のおもひで」です。
